第3部 情報通信の現況と政策動向
第4章 情報通信の現況

(5)インドの情報通信政策の動向


●国家電気通信政策2011に向けた動き

 インド通信IT省は包括的な電気通信政策2011(NTP-2011:New Telecom Policy 2011)の策定プロセスを開始した。これは、NTP-1999以降の電気通信産業の変革を考慮したものである。電気通信総局(Department of Telecommunications)による委員会が設立され、その下に詳細を検討する8チームが設置されて検討が行われている。

●国家ブロードバンド計画を策定

 インド電気通信規制庁(TRAI:Telecom Regulatory Authority of India)は、2010年12月8日、「国家ブロードバンド計画」に関する勧告を発表した。この勧告は、2010年6月時点で普及率0.74%と低迷するインドのブロードバンドの状況に鑑み、インドの今後のブロードバンド発展のための政策を検討することを目的として、インド通信IT省がTRAIに要請したものであり、その後通信IT省において国家ブロードバンド計画策定の作業が進められている。同計画では、ブロードバンドが国の成長を大きく促進するものであるとし、ルーラル地域の人々に対する行政サービスと意思決定プロセスの提供、遠隔教育、遠隔医療、オンラインバンキングの提供等の内容が含まれている。具体的には、人口500 人以上のすべての集落にオープンアクセスの光ファイバ網を提供することが挙げられている。この計画は2 段階をとっており、まず2012 年までに都市部および主要な村落(グラム・パンチャヤート)に対して、次に2013 年までに人口500 人以上の村落に光ファイバを敷設するとしている。また、「国立光ファイバ公社(NOFA:National Optical Fibre Agency)」(中央政府が100%保有する企業)を設立すること、各州には「州立光ファイバ公社」(SOFA:State Optical Fibre Agency)を設立すること、SOFA の株式の51%をNOFA が保有し、残りの49%は州政府が保有すること、NOFA はすべてのSOFA に対する持株会社となること等が挙げられている。
 ネットワーク敷設の費用は、総額6,000 億ルピー(約1兆900 億円)と見積もられており、ユニバーサル・サービス基金と中央政府の保証付きの融資によって調達されることになっている。
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