第2部 特集 共生型ネット社会の実現に向けて
第3章 「共生型ネット社会」の実現がもたらす可能性

(2)ソーシャルメディアの利用目的、利用により実現したこと


ア ソーシャルメディアの種類別の分析

●利用者は目的に応じて使い分け。「もともとの知人とのコミュニケーションのため」はSNS、「知りたいことについて情報を探すため」はTwitter、「同じ悩みごとや相談ごとを持つ人を探すため」はブログ

 ソーシャルメディアの利用目的について、22の項目を示して複数回答を得、SNS、ブログ、Twitterの利用者について比較をしてみると12、「もともとの知人とのコミュニケーションのため」はSNS利用者が顕著に多く、「知りたいことについて情報を探すため」はTwitter利用者が多く、「同じ悩みごとや相談ごとを持つ人を探すため」はブログ利用者が多かった。また、ブログ利用者は「自分の交友関係を広げたいと思ったから」が少なく、「同じ趣味・嗜好を持つ人を探すため」「ボランティア活動や社会貢献をするため」が他に比べて若干高かった(図表3-2-3-7)。

図表3-2-3-7 ソーシャルメディアの利用目的(ソーシャルメディアの種類別)
図表3-2-3-7 ソーシャルメディアの利用目的(ソーシャルメディアの種類別)
様々なソーシャルメディアが目的に応じて使い分けられている
(出典)総務省「次世代ICT社会の実現がもたらす可能性に関する調査」(平成23年)

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 利用者の約6割が複数のソーシャルメディアを利用していることと併せて考えると、ソーシャルメディアの利用者は、目的に応じ複数のソーシャルメディアを使い分けていることが推測される。

●目的に応じて使い分け、おおむね目的に応じた効果。「疎遠になっていた人と再び交流するようになった」はSNS、「知りたいことについて情報を得られた」、「同じ趣味・嗜好を持つ人と交流できた」はブログ、Twitter、SNSのいずれも多い

 ソーシャルメディアを利用して実現したことについて、17の項目を示して、それぞれの項目について、実現度合いについて回答を得、SNS、ブログ、Twitterの利用者について比較をしてみると13、「疎遠になっていた人と再び交流するようになった」はSNS利用者が顕著に多く、「知りたいことについて情報を得られた」、「同じ趣味・嗜好を持つ人と交流できた」は、SNS、ブログ、Twitterいずれの利用者も多く、その中ではブログ利用者がやや多いとの結果が得られた(図表3-2-3-8)。
 また、「身近な不安・問題の解決」「社会・地域コミュニティの問題解決等」に関してはおおむねブログ利用者が多いとの結果が得られた(図表3-2-3-8)。
 このように、ソーシャルメディアの利用者は、目的に応じてソーシャルメディアを使い分け、その結果においても、各ソーシャルメディアがおおむね利用者の目的に沿った効果を上げていることが推測される。

図表3-2-3-8 ソーシャルメディアを利用して実現したこと(ソーシャルメディアの種類別)
図表3-2-3-8 ソーシャルメディアを利用して実現したこと(ソーシャルメディアの種類別)
ソーシャルメディアの使い分けにより多様なことが実現
(出典)総務省「次世代ICT社会の実現がもたらす可能性に関する調査」(平成23年)

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イ すべてのソーシャルメディアを集計した分析

●ソーシャルメディアの利用目的(種類別分析)で何れのソーシャルメディアでも回答の高かった情報入手、同じ趣味・嗜好を持つ人を探すことが目的の上位に

 「ソーシャルメディアの利用目的」「ソーシャルメディアを利用して実現したこと」のすべての回答項目について、すべてのソーシャルメディアの利用者の回答を集計した結果が図表3-2-3-9及び図表3-2-3-10である。
 「ソーシャルメディアの利用目的」(図表3-2-3-9)については、ソーシャルメディアの種類別の分析(図表3-2-3-7)で何れのソーシャルメディアでも回答率の高かった「知りたいことについて情報を探すため」「同じ趣味・嗜好を持つ人を探すため」については、選択肢の中で一番目と二番目に回答率が高かった。「もともとの知人とのコミュニケーションのため」「自分の知識、経験や趣味に関する情報を共有するため」の回答率も高かった。

図表3-2-3-9 ソーシャルメディアの利用目的
図表3-2-3-9 ソーシャルメディアの利用目的
情報入手、同じ趣味・嗜好を持つ人を探すことが目的の上位に
(出典)総務省「次世代ICT社会の実現がもたらす可能性に関する調査」(平成23年)

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図表3-2-3-10 ソーシャルメディアを利用して実現したこと
図表3-2-3-10 ソーシャルメディアを利用して実現したこと
情報入手、同じ趣味・嗜好を持つ人との交流を多くの人が実現
(出典)総務省「次世代ICT社会の実現がもたらす可能性に関する調査」(平成23年)

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●ソーシャルメディアを利用して実現したこと(種類別分析)で何れのソーシャルメディアでも回答の高かった情報入手、同じ趣味・嗜好を持つ人との交流を多くの人が実現

 「ソーシャルメディアを利用して実現したこと」(図表3-2-3-10)については、ソーシャルメディアの種類別の分析(図表3-2-3-8)で何れのソーシャルメディアでも回答率の高かった「知りたいことについて情報が得られた」「同じ趣味・嗜好を持つ人と交流できた」については、選択肢の中で一番目と二番目に回答率が高かった。「ソーシャルメディアを契機とする新たなコミュニケーション」に関する選択肢は、おおむね回答率が高かった。また、多くの人(36.8%)が「自分や家族の進学・就職・結婚・育児等の問題が解消した」等身近な不安・問題の解決を実現していた。

ウ ソーシャルメディアが媒介する人と人との協働

●ソーシャルメディアが人と人との協働を媒介し、身近な不安・問題や社会・地域コミュニティの問題を解決

 「利用目的」及び利用した結果として「実現したこと」を併せて考察すると、「利用目的」の中には、「一緒に仕事をする人を探すため」「ボランティア活動や社会貢献を一緒にしてくれる人を探すため」「同じ悩みごとや相談ごとを持つ人を探すため」「近隣の住民と情報を共有し、地域活動に役立てるため」のように、協働して身近な不安・問題の解決をしたり、社会・地域コミュニティの問題解決をしたりすることを目的とするものがみられたが、ソーシャルメディアを利用した結果、「自分や家族の進学・就職・結婚・育児等の問題が解消した」、「自分や家族・親戚の健康上の不安・問題が解消した」、「新たな絆(ビジネスパートナーや趣味友達等)が生まれた」「近隣・地域に関わる不安・問題が解消した」「社会の仕組みを変えることに貢献できた」、「政治や政策に影響を与えることができた」等を実現したとの回答が得られた。
 このように、ソーシャルメディアが人と人との協働を媒介し、諸問題の解決という形で実社会にプラスの影響を与えているという実態が浮かび上がった。


12 利用目的について、22の項目を示して調査をし複数回答を得た。分析に際しては、回答率の高かった回答項目を抽出し、「オフラインコミュニケーションの補完」、「情報の受発信」、「ソーシャルメディアを契機とする新たなコミュニケーション」、「身近な不安・問題の解決」、「社会・地域コミュニティの問題解決等」という5つのソーシャルメディアの効用に関するカテゴリーに分類した。また、最もよく利用するコミュニティに参加するために用いるソーシャルメディアとして回答数の多かったSNS、ブログ、Twitterを対象として分析をした(以下の分析においても、基本的に、同様の方法でSNS、ブログ、Twitterを対象とした分析を行っている)
13 ソーシャルメディアの利用による実現度合いについて、17の項目を示して、それぞれの項目について「あてはまる」、「ややあてはまる」、「あまりあてはまらない」、「あてはまらない」の4段階で回答を得、分析に際し、「あてはまる」、「ややあてはまる」を抽出して使用した。また、分析に際しては、回答率の高かった回答項目を抽出し、目的と同様の5つのソーシャルメディアの効用に関するカテゴリーに分類し、回答数の多いSNS、ブログ、Twitterを対象とした
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