第3部 情報通信の現況と政策動向
第5章 情報通信政策の動向

(2)デジタルネットワーク社会におけるデジタルコンテンツの流通の在り方


ア デジタルネットワーク社会における出版物の利活用の推進
 電子出版を巡る世界の情勢が著しく進展する中、我が国において、デジタルネットワーク社会に対応した知の拡大再生産の実現を前提として、我が国の豊かな出版文化を次代に着実に継承しつつ、広く国民が出版物にアクセスできる環境を整備することが重要な課題となっている。
 総務省、文部科学省及び経済産業省では、関係者が広く集まり、デジタルネットワーク社会における出版物の利活用の推進に向けた検討を行うこととして、平成22年3月から「デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会」を開催し、「デジタルネットワーク社会における出版物の円滑かつ安定的な生産と流通による知の拡大再生産の実現」、「オープン型電子出版環境の実現」、「『知のインフラ』へのアクセス環境の整備」、「利用者の安心・安全の確保」等について検討され、平成22年6月に今後の具体的政策の方向性とアクションプランを内容とする報告書を取りまとめ、公表した10

イ 電子出版の環境整備
 「デジタルネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会」報告書取りまとめ後、電子書籍端末の販売や多くのプラットフォームが立ち上がるなど、国内においても電子出版を巡り様々な動きが活発化してきた。総務省においては、急速に立ち上がりつつある我が国の電子出版市場を踏まえ、中小の出版社も含め様々なプレーヤーが電子出版市場に参入でき、利用者が豊富なコンテンツに簡便・自由にアクセスできる環境(オープン型電子出版環境)を整備するため、電子書籍交換フォーマット標準化プロジェクト、EPUB日本語拡張仕様策定、次世代書誌情報の共通化に向けた環境整備事業等10のプロジェクトに取り組み、電子書籍交換フォーマットの確立、EPUB日本語拡張仕様の策定及び「IDPF(国際電子出版フォーラム)」のEPUB3.0草案への反映、近刊情報センターの設立等、我が国における電子出版市場の基盤技術の確立を図った11

ウ デジタルアーカイブによる知の地域づくり
 総務省では、「デジタルネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会」技術ワーキングチームのサブワーキングチームとして、平成23年2月から、「知のデジタルアーカイブに関する研究会」を開催している12
 本研究会は、通称「デジタル文明開化プロジェクト」として、図書・出版物、公文書、美術品・博物品、歴史資料等公共的な知的資産の総デジタル化を進めて、インターネット上で電子情報として共有・利用できる仕組(デジタルアーカイブ)の構築による知の地域づくりを目指し、関係者が広く集まり、デジタル情報資源の流通促進に係る課題の整理を行い、デジタルアーカイブ間の相互連携の促進を図ることとしている。


10 参考:「デジタルネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会」:http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/shuppan/index.html
11 電子出版環境整備事業に関する成果報告の公表:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu02_01000017.html
12 知のデジタルアーカイブに関する研究会:http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/shuppan/index.html
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