第3部 情報通信の現況と政策動向
第5章 情報通信政策の動向

(1)脳の仕組みを活かしたイノベーション創成型研究開発


 近年、脳の活動の仕組みや機能の解明が進展する中、総務省では、「脳活動情報から直接意志などを解読し伝達すること」、「コンピュータより桁違いに低消費エネルギーな脳の仕組みを利用した情報通信ネットワーク制御」等、脳の仕組みを情報通信に応用するための基本技術の研究開発を実施している(図表5-6-3-1)。

図表5-6-3-1 脳の仕組みを活かしたイノベーション創成型研究開発の実現イメージ(ライフサポート型ロボット技術に関する研究開発との連携)
図表5-6-3-1 脳の仕組みを活かしたイノベーション創成型研究開発の実現イメージ(ライフサポート型ロボット技術に関する研究開発との連携)

ア 高精度脳情報センシング技術・脳情報伝送技術、実時間脳情報抽出・解読技術及び脳情報解読に基づく生活支援機器制御技術
 高齢者・チャレンジド等が利用できる、「念じるだけで動く」生活・介護支援ロボット(ライフサポート型ロボット)及びコミュニケーション支援機器への応用を念頭に、簡単な動作や方向、感情等を「強く念じる」ことで機器に伝えることを日常的に可能とするための基本技術の確立を目指し、
[1] 日常生活環境において利用者の脳活動等を継続的に計測し、取得した情報を低遅延で伝送する技術
[2] 脳活動情報に同時に取得した環境情報等を参照可能とするタグを付与したデータベースを活用し、取得した脳活動情報等から生活支援において有意な情報を抽出する脳活動情報処理技術
[3] 「念じるだけで動く」移動支援などが安全に行われるための移動支援機器安全制御技術
について、研究開発を実施している。

イ 脳の動作原理の活用による省エネで外乱に強いネットワーク制御基盤技術
 省エネで信頼性の高い新世代のICTインフラを実現することを目指し、極めて低エネルギーで柔軟な「脳の仕組み」を応用し、変動している通信状況を環境情報として取得し、災害などの大きな外乱が生じても適応的かつ即応的にネットワーク経路を探索して通信機能を維持しつつ、エネルギー消費が少ない経路制御を行うための基本技術等について研究開発を実施している。
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