第3部 情報通信の現況と政策動向
第5章 情報通信政策の動向

(4)最先端のグリーンクラウド基盤構築に向けた研究開発


 クラウドサービスとは、ICTを資産として「所有」せずに、使った分だけ対価を支払い「利用」する形態であり、いつでもどこからでもネットワークを通じて必要なコンピュータ資源に柔軟にアクセスし、利用することが可能となるサービスである。こうしたクラウドサービスは、ICT設備投資の負担軽減や情報処理の集約による環境負荷低減の効果が大いに期待され、その市場は今後急速に拡大すると予測されている。
 しかし一方で、既存のクラウドサービスに対して、サービスの安全性や信頼性に対する不安が根強く存在しており、クラウドサービスをより広範な業務(企業の基幹業務や社会インフラサービスといった、ミッションクリティカルなサービス等)に活用し、また広域災害発生時や大規模停電時においても重要データを待避させつつ処理を円滑に継続するためには、安全性・信頼性の一層の向上を図っていくことが不可欠である。
 加えて、ネットワーク側にデータ処理を大きく依存するクラウドサービスの拡大は、ネットワークのトラヒックの飛躍的拡大を伴い、ネットワーク全体の消費電力がますます増大することが予想される。このため、世界的な課題でもあるCO2排出削減に対する取組のため、クラウドサービスを提供するためのネットワークの省電力化技術も重要である。
 これらの課題に対応するため、高信頼・高品質で省電力な最先端のクラウド間連携基盤(グリーンクラウド基盤)の構築を目指し、基幹技術の研究開発を推進している。
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