第3部 情報通信の現況と政策動向
第5章 情報通信政策の動向

(1)政府におけるITガバナンスの確立・強化


 電子行政の推進は、「新たな情報通信戦略」(平成22年5月IT戦略本部決定)においても、重点戦略(3本柱)の一つに位置付けられ、政府情報システムについて徹底した業務改革をした上で、費用対効果を踏まえたシステムの構築・刷新を進めることとされている。
 総務省では、政府情報システムに関し、費用対効果を踏まえた効率的・効果的な整備・運用等を図る観点から、専門的かつ技術的な改革方策について検討するため、平成22年9月から、「政府情報システム改革検討会」を開催し1、平成22年12月に論点整理を行い、平成23年3月に、提言「政府におけるITガバナンスの確立・強化に向けて」を公表した。
 本提言においては、これまでの電子政府の取組について、政府においてIT投資管理やシステムの整備・運用に係るポリシーやルールが必ずしも十分に整備されておらず、政府全体としてのマネジメントが十分に機能していない等の反省から、[1]IT投資管理の確立・強化、[2]政府のITガバナンスを支える基盤機能の強化、[3]政府共通プラットフォームの整備等が重要であるとしている。具体的には、IT投資案件の企画からシステムの導入、実際の運用を経た事後評価にわたる一連のプロセスにおいて、投資によって得られる効果を最大化する継続的な取組が必要であること、政府情報システムの効率的な整備・運用を図るため、明確な戦略の下、すべての関係者を統制し、実現へと導く仕組み(ITガバナンス)を確立・強化すること等が必要であるとされている。
 政府共通プラットフォームは、クラウドコンピューティング等の最新の技術を活用し、現在府省ごとに整備・運用されている政府情報システムの統合・集約化や、共通機能の一元的提供等を行う基盤として整備されるシステムである。政府共通プラットフォームを整備することにより、情報システム部門の運用・保守に係る負荷が軽減することから、情報システムの質の向上やITコストの削減だけでなく、情報システム部門が府省内の業務プロセス改革を推進するドライバとしての役割に注力することも可能となり、人材の有効活用や各府省のガバナンスの強化等も期待できる(図表5-5-1-1)。

図表5-5-1-1 政府共通プラットフォーム
図表5-5-1-1 政府共通プラットフォーム

 今後、提言内容を確実に実施するため、「業務・システム最適化指針」、「情報システムに係る政府調達の基本指針」等の各種ガイドラインの必要な見直し、政府共通プラットフォームの着実な整備を行っていく必要がある。


1 政府情報システム改革検討会:http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/joho_system/index.html
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