第3部 情報通信の現況と政策動向
第5章 情報通信政策の動向

2 知識情報社会の実現に向けた情報通信政策の在り方


 近年のICTをめぐる状況は、ブロードバンド化・デジタル化された通信・放送ネットワークを通じて、社会経済のあらゆる場面において、知識・情報のやり取りが活発に行われ、その流通・共有・活用・蓄積が新たな価値を生み出す「知識情報社会」の構築がグローバルに進展しつつある。また、我が国が抱える少子高齢化、人口減少、環境問題等の解決に向け、これまで以上に利用者本位でICTの利活用に取り組み、国民が生活の改善を実感できる豊かな社会を実現することが求められている。
 平成23年2月、情報通信審議会情報通信政策部会は、総務大臣から諮問された「知識情報社会の実現に向けた情報通信政策の在り方」を受け、本格的な「知識情報社会」の実現に向けて、2020年頃までを視野に入れて、今後の市場構造の変化、国民利用者の社会生活に及ぼす影響等を踏まえつつ、ICT政策の今後の方向性としての「総合戦略」を描くことを目的とし、審議を開始した(図表5-1-2-1)。

図表5-1-2-1 「知識情報社会」の実現に向けた情報通信政策の在り方の検討項目(例)
図表5-1-2-1 「知識情報社会」の実現に向けた情報通信政策の在り方の検討項目(例)

 こうした中、平成23年3月に発生した東日本大震災は、これまでに経験したことがない広域かつ複合的な甚大な損害をもたらした大災害となった。今後の復旧・復興プロセスは長期に及ぶものと考えられるが、当該プロセスにおいては、被災地の地方自治体が主体となる「東日本復興」と、その原動力となる国家としての「日本再生」を同時並行的に推進していく必要があり、ICT分野において今次震災から得られた経験を踏まえ、当初の検討アジェンダを修正した。
 情報通信審議会は、今後、ICT総合戦略として、平成23年夏に中間答申を行い、また、平成24年夏に向けて、「知識情報社会」の実現に向けた、より長期的な戦略の策定のための議論を行う予定である。
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