第1部 東日本大震災における情報通信の状況
第4節 情報通信が果たした役割と課題

第4節 情報通信が果たした役割と課題


 災害において、情報通信の果たすべき役割は大きい。例えば、平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災については、
 ・電話や交通機関が途絶し、ドーナツのように被災地中心部の情報が空白になった
 ・情報発信は主に、新聞、ラジオ、テレビなどマスメディアを通じて行われた
 ・発災直後の情報は、ラジオやテレビを通じて報道され、インターネットは、主に救出・救護期以降に使われた
などの指摘がなされてきた1
 今回の東日本大震災においては、通信インフラに対する被害も甚大であったため、発災直後は、情報伝達の空白地域が広範囲で発生したが、このような中、「情報空白域」を最小化しようとする取組が行われた。また、今回の震災においては、被害が広域的かつ甚大であったこともあり、マスメディアでは限界のある、きめ細やかな情報を送ることが可能なソーシャルメディアなどの新たなメディアも用いられた。さらに、インターネットなどを活用して、震災直後から様々な情報発信が行われるとともに、ボランティアなど後方支援を行う取組なども行われた。
 一方で、災害時におけるインターネットの利活用については、第1節で述べた通信の途絶の課題や、いわゆるデマ情報、チェーンメールへの対処など様々な課題も浮かび上がったところである。
 ここでは、特徴的な取組の一部を取り上げ考察する。


1 廣井脩編著「災害情報と社会心理」(北樹出版、2004)中、小田貞夫「第5章 災害とマス・メディア」を参照
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