第3部 情報通信の現況と政策動向
第5章 情報通信政策の動向

(3)企業コードを用いた行政機関間情報連携の推進


 現在、民間企業が行う国や地方自治体向けの行政手続においては、公的証明書類の添付が義務付けられているものが多く存在する。一方、行政機関ごとに様々な企業コードが割り付けられていることから、行政機関間での情報連携が難しく、申請企業に負担が生じているなど、従来のオンライン行政手続は必ずしも利用者にとって利便性の高いものとは言えない状況にあった。
 「新たな情報通信技術戦略」(平成22年5月IT戦略本部決定)において、「国民本位の電子行政の実現」は重点戦略(3本柱)の一つに位置付けられており、具体的取組として「企業コードに係る政府・地方自治体の行政機関間・官民間の連携(中略)を推進する」こととされている。さらに、「新たな情報通信技術戦略工程表」(平成22年6月IT戦略本部決定)においては、企業コードの導入に関して、平成23年度までに課題抽出を行い、平成24年度から「企業コードの整備・連携の推進(順次)」を行うこととされている。
 総務省では、同工程表に基づき企業コード導入に係る課題抽出のために、平成22年度に「行政業務システム連携推進事業(共通企業コードを媒介にした行政業務システム連携による添付書類削減方法の検証)」を実施した3。これは、民間企業の行政手続のうち、申請時に法務省が発行する登記事項証明書等の添付を要する「物品・役務入札参加資格審査手続」を対象とし、法務省と協力して、共通企業コードを用いて行政機関間の情報連携を行うことで登記事項証明書の添付を省略することについて、技術的検証、制度・運営面等における課題抽出を目的とした実証実験を行うものである。総務省では、これにより、利用者本位の新しい電子行政の実現を目指している。


3 「行政業務システム連携推進事業」:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu02_01000006.html
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