第1部 東日本大震災における情報通信の状況
第2節 放送の状況

1 地上テレビ放送


●通常の番組編成を変更し災害関連情報等を放送

 地上テレビ放送については、親局への影響はなかったものの、東北、関東の被災各地における電力の途絶等により、中継局については東北6県を含む全11県で最大時120か所(うち、損壊2か所、停電118か所)の停波が確認された。
 このような中、NHK、地元放送事業者等は通常の番組編成を変更し、災害関連情報等の放送を行った。例えば、NHKでは、緊急地震速報につづき、総合テレビをはじめ、教育テレビ、ラジオ第1など全8波で、地震発生の2分後から地震報道を開始し、総合テレビでは地震発生から3月22日までの12日間に震災関連ニュース・番組を約254時間放送した1
 また、NHKでは、避難者の方々がテレビやラジオで放送している災害情報等を視聴可能となるよう、メーカー等の協力を得て避難所へのテレビやアンテナの設置を進めた2
 これらの放送は、ワンセグによっても放送された。多くが携帯電話等の可搬型端末に搭載されるワンセグは、携帯が容易、かつ、受信端末のみでの放送の視聴が可能であることから、重要な情報伝達手段の一つとなった。
 なお、NHKでは、今回の震災に伴い、災害救助法の適用区域内において、半壊、半焼又は床上浸水以上程度の建物被害を受けた契約者、又は避難勧告等を1か月以上受けた契約者に対する放送受信料の免除を実施した。

●被災地での「地デジ難視対策衛星放送」の一時利用の実施

 総務省及び社団法人デジタル放送推進協会は、東日本大震災の被災地において地上テレビ放送が視聴できない場合に、「地デジ難視対策衛星放送」を一時的に利用可能とする措置を講じた。
 具体的には、岩手県、宮城県及び福島県の3県並びにその周辺の被災地の方々で、今回の震災により地上テレビ放送が視聴できなくなった世帯を対象として、居住地等で視聴できる放送と同系列の東京地区の地上デジタル放送の番組を、約半年間、無料で視聴できるようにするものである。


1 参考:平成23年3月23日 NHK放送総局長記者会見:
2 参考:平成23年3月15日 NHK広報局資料:http://www.nhk.or.jp/pr/keiei/otherpress/110315-002.html
テキスト形式のファイルはこちら