第3部 情報通信の現況と政策動向
第5章 情報通信政策の動向

(2)行政手続のオンライン利用に係る国民の利便性向上と行政運営の効率化に向けた取組


 オンライン利用が可能な行政手続の範囲については、「2003年までに国が提供する実質的にすべての行政手続をインターネット経由で可能とする」との方針の下、オンライン化を進めてきた結果、2003年度にはオンライン利用が可能な国の手続は96%となった。しかしながら、申請・届出等の件数が極めて少ない手続が相当数を占めており、システムの整備・運用に係る経費に対して、オンライン利用による効果が十分発現していないといった指摘や、利用者の視点に立った業務の分析・見直し、申請システムの設計等が不十分であることなどにより、国民・企業等が利便性を十分に実感できていないのではないかとの指摘を受けてきた。
 これを踏まえて、「新たな情報通信技術戦略」(平成22年5月IT戦略本部決定)では、行政手続のオンライン利用の費用対効果等を検証し、対象サービスの範囲等に係る基準を整理した上で、業務プロセスを徹底的に見直すという考え方の下、オンライン利用に関する計画を取りまとめることとされた。平成22年9月にIT戦略本部企画委員会の下に設置された「電子行政に関するタスクフォース」において検討が行われ、平成23年6月に「新たなオンライン利用に関する計画に係る提言」が取りまとめられた2。提言では、費用対効果等を踏まえてオンライン利用の停止・継続を判断する枠組みを設けることや、国民の利便性向上及び行政運営の効率化のための業務プロセス改革を行うべきことが盛り込まれており、今後、この提言を受けて、IT戦略本部において「新たなオンライン利用に関する計画」が決定され、計画に基づく取組が進められる予定である。


2 電子行政に関するタスクフォース:http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/denshigyousei/
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