第2部 特集 共生型ネット社会の実現に向けて
第1章 ICTにより国民生活はどう変わったか

(1)余暇行動のパソコンへのシフト


●ドライブや国内観光旅行、外出などに並ぶ活動として、パソコン(ゲーム、趣味、通信など)が余暇行動として認識されてきた
 一般的に、余暇行動というと、外食や旅行に行くことが連想されがちであるが、インターネットの普及によって、余暇行動はどのように変化をしたのだろうか。「レジャー白書」(図表1-3-5-1)によると、情報メディアを利用するような余暇行動は、「ビデオの鑑賞」や「音楽鑑賞(CD、レコード、テープ、FMなど)」など様々であるが、余暇行動としての「パソコン(ゲーム、趣味、通信など)」の参加人口は平成21年には8,560万人となった。これは、従来から余暇行動とされてきたドライブや国内観光旅行、外出などに並ぶ参加人口であり、「パソコン(ゲーム、趣味、通信など)」が余暇行動として認識されてきたことの表れであると考えられる。

図表1-3-5-1 余暇行動への参加人口
図表1-3-5-1 余暇行動への参加人口
パソコンの利用が、ドライブ、国内観光旅行などと並んで、余暇行動として認識されている
(出典)総務省「ICTインフラの進展が国民のライフスタイルや社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査」(平成23年)
(公益財団法人日本生産性本部「レジャー白書」により作成)

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●テレビに次いでパソコンでのサイト閲覧が上位になるなど、余暇としてのインターネット利用の比重が高まっている

 情報メディアを利用するような余暇行動にどれくらいの時間を費やしていたかみてみると、趣味・娯楽シーンにおいて、平成17年では、テレビに次いで新聞の利用時間が多いが、平成22年では、テレビに次いでパソコンでのサイト閲覧の利用時間が多くなっており、余暇としてのインターネット利用が広まっていることがわかる(図表1-3-5-2)。また、利用時間の推移をみると、テレビ放送を見る(−4.16分/日)や新聞を読む(−4.44分/日)などで利用時間が減少している(図表1-3-5-3)。一方、同じ趣味・娯楽シーンで、サイト閲覧の利用時間は携帯電話で+3.97分、パソコンで+4.85分と増加している。なお、平成22年に加えられた項目ではあるが、携帯電話やパソコンからインターネット経由での動画視聴の利用時間が2.56分となっており、総じて余暇としてのインターネット利用の比重が高まってきていることがわかる。

図表1-3-5-2 情報メディアの利用時間
図表1-3-5-2 情報メディアの利用時間
テレビ放送を見る(−4.16分/日)や新聞を読む(−4.44分/日)などで利用時間が減少
(出典)総務省「ICTインフラの進展が国民のライフスタイルや社会環境等に及あぼした影響と相互関係に関する調査」(平成23年)
(「日本人の情報行動2005」及び「2010年日本人の情報行動調査」により作成)

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図表1-3-5-3 趣味・娯楽シーンでの情報メディアの利用時間の推移
図表1-3-5-3 趣味・娯楽シーンでの情報メディアの利用時間の推移
サイト閲覧の利用時間は携帯電話で+3.97分、パソコンで+4.85分と増加
(出典)総務省「ICTインフラの進展が国民のライフスタイルや社会環境等に及あぼした影響と相互関係に関する調査」(平成23年)
(「日本人の情報行動2005」及び「2010年日本人の情報行動調査」により作成)

●テレビは全体的に利用時間が減少したが、10代・20代で減少幅が大きくなっている一方で、50代・60代では利用時間を伸ばしている

 では、各情報メディアの利用時間の変化については、年代別に特徴はあるのだろうか。
 趣味・娯楽シーンにおける「テレビ放送を見る」時間の年代別の変化を見てみると、10代・20代の若年層における減少幅が大きいが、50代・60代では利用時間を伸ばしている(図表1-3-5-4)。一方、「新聞を読む」では全年代で減少傾向にあり、特に40代以上における減少幅が大きく、テレビ放送と新聞では異なる傾向となっている。

図表1-3-5-4 趣味・娯楽シーンでの「テレビ放送を見る・新聞を読む」時間の年代別変化
図表1-3-5-4 趣味・娯楽シーンでの「テレビ放送を見る・新聞を読む」時間の年代別変化
「テレビ放送を見る」時間は、10代・20代で減少幅が大きくなっている一方で、50代・60代では利用時間を伸ばしている
(出典)総務省「ICTインフラの進展が国民のライフスタイルや社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査」(平成23年)
(「日本人の情報行動2005」及び「2010年日本人の情報行動調査」により作成)

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●趣味・娯楽シーンにおいて、10代・20代では携帯電話を、30代以降はパソコンを利用する傾向が強い

 サイト閲覧をする時間について、年代別に見てみると、携帯電話では全年代で増加傾向にあり、特に10代・20代の若年層における増加幅が大きい(図表1-3-5-5)。また、パソコンからの閲覧については、携帯電話からの閲覧において大きく利用時間が増加していた10代を除き、他の年代では増加傾向にあり、特に30代・50代を中心に増加幅が大きくなっている。第3節1(1)コミュニケーション行動の変容においても述べたが、10代・20代では携帯電話を活用する傾向が強く、30代以降はパソコンの利用が強い傾向が、ここにも表れていると考えられる。

図表1-3-5-5 趣味・娯楽シーンでの「サイトを見る(携帯電話・パソコン)」時間の年代別変化
図表1-3-5-5 趣味・娯楽シーンでの「サイトを見る(携帯電話・パソコン)」時間の年代別変化
20代における「サイトを見る(携帯電話)」は+16.17分/日と大幅に増加
(出典)総務省「ICTインフラの進展が国民のライフスタイルや社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査」(平成23年)
(「日本人の情報行動2005」及び「2010年日本人の情報行動調査」により作成)
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