第2部 特集 共生型ネット社会の実現に向けて
第2章 浮かび上がる課題への対応

(1)自治体の概況×ICT利活用


●ICT利活用が進んでいる自治体は、規模が大きく、財政力が良好な団体

 地域におけるICT利活用を進めるにあたり、自治体区分や人口規模等の自治体の概況と、ICT利活用状況との関係性について分析した。
 自治体区分(市・特別区、町、村)とICT利活用の総合指標との相関をみると、市・特別区の方がICT利活用が進んでいる(図表2-3-4-112。また、自治体の人口規模との相関をみると、人口規模の大きな自治体の方がICT利活用が進んでいる(図表2-3-4-2)。自治体の財政力との関係を、財政力指数13との相関でみると、財政状況が良好な自治体ほど、総合指標が高い(図表2-3-4-3)。

図表2-3-4-1 自治体区分と総合指標
図表2-3-4-1 自治体区分と総合指標
市・特別区の方がICT利活用が進む傾向
(出典)総務省「ICT利活用システムの普及促進に係る調査研究」(平成23年)

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図表2-3-4-2 人口規模と総合指標
図表2-3-4-2 人口規模と総合指標
人口規模の大きい方がICT利活用が進む傾向
(出典)総務省「ICT利活用システムの普及促進に係る調査研究」(平成23年)

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図表2-3-4-3 財政力指数と総合指標
図表2-3-4-3 財政力指数と総合指標
財政力の良好な方がICT利活用が進む傾向
(出典)総務省「ICT利活用システムの普及促進に係る調査研究」(平成23年)

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 行政情報化との関係について、届出・申請等業務におけるオンライン化業務数との相関でみると、オンライン化済み業務数が多いほど総合指標が高くなっている。つまり、行政情報化に積極的に取り組んでいる自治体は、地域情報化にも積極的に取り組んでいる傾向があると考えられる(図表2-3-4-4)。

図表2-3-4-4 届け出・申請等自治体業務のオンライン化済み業務数と総合指標
図表2-3-4-4 届け出・申請等自治体業務のオンライン化済み業務数と総合指標
オンライン化済み業務数が多い方がICT利活用が進む傾向
(出典)総務省「ICT利活用システムの普及促進に係る調査研究」(平成23年)

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 自治体規模が大きく、財政力が良い自治体はICT利活用力が高い一方、自治体規模が小さい、財政力が弱いなど、本来ICT利活用を進めることにより地域課題の解決が期待されるはずの地域では、十分にICT利活用が進められていない可能性がある。


12 図表2-3-4-1〜2-3-4-11について
[1]分析に際して、既存の統計指標と今回調査の回答を結合して分析している。利用した統計は以下のとおり
 総務省「統計でみる市区町村のすがた2010」:http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001026833&cycode=0
 総務省「地方公共団体における行政情報化の推進状況調査結果(平成22年度)」:http://www.soumu.go.jp/denshijiti/chousah22.html
[2]一部市区町村において統計指標が欠損している場合は、当該市区町村を集計から除外しているため、図表によっては、回答サンプル数の合計が606に満たないものもある
13 財政力指数:地方公共団体の財政力を示す指数で、基準財政収入額を基準財政需要額で除して得た数値の過去3年間の平均値。財政力指数が高いほど、普通交付税算定上の留保財源が大きいことから、財源に余裕があるといえる
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