第2部 特集 共生型ネット社会の実現に向けて
第3章 「共生型ネット社会」の実現がもたらす可能性

コラム ソーシャルメディアによる人と人との支え合い〜患者コミュニティサイトで闘病体験を共有〜


 ソーシャルメディア上のコミュニティ活動が、身近な不安・問題の解決、人と人との支え合いにつながった事例として、闘病中の患者どうしが出会い励まし合える場である患者コミュニティサイト「ライフパレット」1がある。このサイトでは、病気を抱える利用者や家族が、日々の何気ない出来事を気軽に日記に書きとめることから始めて、日記へのコメントやメールを通して、仲間を見つけたり、闘病体験記を綴って公開したり、他の患者の質問に回答したりという相互作用を展開している。こうした参加者間の相互作用を通して、患者が病気と闘う力を得るだけでなく、自分の経験を他の人のために還元し他の患者を励ますこともできる仕組となっており、近くに同じ病気の患者や家族がいなくてもいつでもどこでもつながれるというソーシャルメディアの特性を活かし、平成22年末には月間8万人が訪れているという。
 本事例は、ソーシャルメディアが、人と人を結びつけ、現実社会での身近な不安や問題を解消し、人と人とが支え合うためのツールとして有効であることを示すよい事例といえるだろう。患者数がきわめて少ない難病の患者をはじめ、社会の中で孤立するおそれのある人が支え合いのネットワークを持つことに寄与し、ソーシャルメディアの活用を通じ国民の幅広い層を包摂することが期待されるが、その可能性を示していると考えられる。


1 株式会社メディエイドが平成20年に提供を開始し、運営をしている(http://lifepalette.jp/
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