第2部 特集 共生型ネット社会の実現に向けて
第2章 浮かび上がる課題への対応

(1)国際的なデジタル・ディバイドの要因と解消の意義


●各国、国際機関等によりデジタル・ディバイドの解消に向けた取組が進む

 「国際的なデジタル・ディバイド」とは、国や地域の間の経済的な要因を背景に生じる情報格差、具体的には先進国と開発途上国などにおける情報アクセスに対する地域間格差をいうことが多い(主に“Global Digital Divide”と呼ばれる)。一般的に、デジタル・ディバイド発生の主要因としては、アクセス(ネットワークの利用可能性やインターネット接続料金等)と知識(情報リテラシー等)が挙げられるが、その他にもこれらを支える基本的な社会インフラや利用者の動機等、様々な潜在要因が考えられる。また、国際的なデジタル・ディバイドにおいては、経済的・教育的・社会的レベルが各国の情報通信基盤の発展に影響を与えており、それにより情報格差が生じているとの分析もなされている11
 デジタル・ディバイドは、個人や地域間などあらゆる集団の格差をもたらすが、国際的なデジタル・ディバイドは、国・地域間においてテクノロジー、教育、労働、政治、観光など様々な面で遅れを生じ、国際経済・国際社会が抱える大きな問題へ発展する可能性がある。国際的なデジタル・ディバイドを解消していくことは、情報に関わる不公平性をなくすとともに、経済的には生産性を高め、文化的には相互理解の促進等につながり、より豊かな国際社会が構築されると考えられることから、各国、国際機関等が尽力しており、我が国も国際的な課題解決に向けて取り組んでいるところである。


11 “Global Digital Divide: Influence of Socioeconomic, Governmental,and Accessibility”, J.Pick/R.Azari, 2008
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