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第1部 5Gが促すデジタル変革と新たな日常の構築
第4節 5Gが変えるICT産業の構造

(4)5G市場の予測

3Gから4Gへの移行に際しては、新たな移動通信端末としてスマートフォンが登場し、その機能性等から利用者の支持を得て世界全体で普及していったことで移動通信ネットワークへの要求が高まり、各携帯電話事業者の当初の予想を上回るペースで4Gの利用が拡大していった。

それでは、5Gは今後、どの程度のペースで普及が進むとみられているのか。世界全体と日本国内のそれぞれについて、現時点における普及予測を紹介する。

ア 世界における5G普及予測

グローバルの携帯電話事業者による業界団体GSMAによれば、2025年時点における5G回線比率は、モバイル回線全体の20%を占めるにとどまると予測している(図表1-4-1-32)。地域別にみると、北米や中華圏18、欧州では30%を超える高い普及率を示すものの、その他の地域では、一桁から10%台にとどまるものと予測している(図表1-4-1-33)。

図表1-4-1-32 モバイル回線全体に占める5G回線比率の予測
(出典)GSMA(2020)“The Mobile Economy 2020”
図表1-4-1-33 5G回線比率の予測(地域別・2025年時点)
(出典)GSMA(2020)“The Mobile Economy 2020”を基に作成

また世界全体での5G普及予測について、スウェーデンの移動体通信メーカーであるEricssonが、2019年11月に“Ericsson Mobility Report”を公表した。同レポートでは、2025年時点の全世界における携帯電話契約数を約89億契約に達するものと予測しており、そのうち、5G契約数は約26億契約に達し、モバイル全体の29%を占めるものと予測している(図表1-4-1-34)。

図表1-4-1-34 規格別携帯電話契約数の予測
(出典)Ericsson Mobility Report(2019)
イ 日本国内における5G普及予測

続いて、日本国内における5G普及はどのように予測されているのだろうか。ここでは、株式会社野村総合研究所が2019年11月に公表した予測について紹介する。同社では、高い周波数帯域を使用する5Gは4Gと同等のエリアをカバーしようとすると、より多くの基地局を設置する必要があること、通信事業者間でネットワーク共有の動きが出てきているものの、エリア拡大には相応の時間を要することから、比較的ゆっくりとした市場の立ち上がりを想定している。その結果、2025年時点では、携帯電話総販売台数の56%が5G対応機種となり(図表1-4-1-35)、契約回線ベースでは46%が5G契約になるものと予測している(図表1-4-1-36)。

図表1-4-1-35 携帯電話端末の販売台数と予測(日本国内)
(出典)(株)野村総合研究所公表資料
図表1-4-1-36 携帯電話端末で用いる回線数の予測(日本国内)
(出典)(株)野村総合研究所公表資料

これらの予測から、5Gの普及は、4Gの開始時に比べると、比較的緩やかに進んでいくものとみられている。利用可能エリアの整備に時間を要することや、スマートフォンの登場のような利用者の乗り換えを誘引する要素に乏しいことなどが、慎重な予測となった理由として挙げられる。これらはあくまで現時点での予測であり、今後、革新的な移動通信端末、魅力的な料金プラン、画期的なユースケースといったものの登場や、エリア整備の進捗次第では、これらの予測が覆る可能性も考えられるところである。



18 GSMAの定義では、中国、香港、マカオ及び台湾を中華圏としている。そして、アジア太平洋地域の予測値は、中華圏を抜いた形で計算されている。

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