第1部 5Gが促すデジタル変革と新たな日常の構築
第1節 5Gが加速させるデータ流通

(3)5Gの普及

また、我が国において2020年に商用開始された5Gによる利用拡大も、これらの傾向と相まってデータ流通量の拡大を更に促進するものと考えられる。前述のエリクソンのレポートでは、2025年には、モバイル経由のトラヒックの45%が5Gによるものになると予測している(図表3-1-2-5)。

図表3-1-2-5 モバイル経由でのデータ通信量の推移(世代別)
(出典)Ericsson“Ericsson Mobility Visualizer”を基に作成

その理由として、第1章でも紹介した、超高速大容量、多数同時接続、超低遅延という5Gの3つの要素が大きく関わると考えられる。

まず、5Gの普及により超高速大容量が可能となると、4Kや8Kといった超高精細な大容量の動画も移動通信の回線からストレスを感じることなくやりとりをすることができるようになる。さらに、ARやVRといった新たな技術を活用したコンテンツも一般的になることが予想される。エリクソンのレポートによれば、多視点でのスポーツ中継が1時間当たり7ギガバイトの通信量であるのに対し、ARやVRのコンテンツでは12ギガバイトと大幅に増加すると言われており、このようなコンテンツの配信が一般的になると、トラヒックの増大は加速していくだろう。

加えて、多数同時接続や超低遅延といった5Gの特性が発揮されるようになると、これまでインターネットに接続されていなかった様々な機器も接続されることが予想される。特に、超低遅延という特性によって、これまでインターネットを経由した操作には向かないとされてきた分野も含めた、あらゆる場所における、あらゆる機器がインターネットに接続されることとなり、トラヒックの増大につながるだろう。

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