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第1部 5Gが促すデジタル変革と新たな日常の構築
第2節 5Gの実現・普及に向けて

(1)我が国における5Gサービスの開始

ア プレサービスの実施

5Gの本格的な商用開始に先立って、携帯電話事業者各社は、2019年夏以降、実地における動作検証を兼ねてプレサービスを提供した。その内容は、5Gの超高速・大容量や超低遅延といった特長を活かした、スポーツ・エンターテインメント分野におけるマルチアングル視聴体験や高精細映像(4K等)のリアルタイム伝送といったものが中心であった(図表1-2-3-2)。

図表1-2-3-2 携帯電話事業者各社による5Gプレサービス
(出典)各社提供資料
イ 商用サービスの開始

2020年3月、NTTドコモ、KDDI及びソフトバンクは、相次いで5Gの商用サービスを開始した。また、楽天モバイルは、同年6月に商用サービスを開始する予定であったが、同年9月への延期を発表した3

3社の料金プランは、データ通信の上限を無制限とするなど高速大容量通信の提供を前提とした内容となっており、金額はキャンペーンを含めると4Gの大容量プランと同水準となっている(図表1-2-3-3)。今後、各社は、基地局増設による利用可能エリアの拡大やさらなる高速化を図りながら、利用者の5Gへの移行を促していくものと考えられる。

図表1-2-3-3 携帯電話事業者3社による5G商用サービス開始状況(サービス開始時点)
(出典)各社報道発表資料
ウ 今後のエリア展開

開設計画の審査を行う際の絶対審査基準として、前述のとおり、5年以内に5G基盤展開率を50%以上とすること及び2年以内に全都道府県で5G高度特定基地局の運用を開始することが定められた。各申請者が総務大臣に提出した開設計画に記載された5年後の5G基盤展開率は図表1-2-3-4のとおりである。今後、各社は提出した開設計画に従って、5G特定基地局の整備を進めることとなるが、4者の計画を合わせると5G基盤展開率は98.0%となり、日本全国の事業可能性のあるエリアほぼ全てに5G基盤が展開される予定である。

図表1-2-3-4 携帯電話事業者の開設計画の概要
(出典)総務省作成資料
エ 今後のネットワーク

本年の商用開始から当分の間は、通信需要の高いエリアを対象に、5G用の新しい周波数帯を用いた超高速サービスが提供される。携帯電話事業者は、コストを抑えつつも円滑な5G導入を実現するため、コアネットワークは4Gのものを引き続き使用しつつ、アクセスネットワークは前述のNSA構成(NR基地局とLTE基地局が連携するシステム構成)で運用していくこととなる。その間は、需要の高いエリア等を中心に、5G用周波数帯を用いた「超高速」サービスが提供されていき、高い周波数帯(28GHz帯)の活用が進展するとともに、Massive MIMOなどの新たな技術の導入が加速していくことが想定される。

その後、コアネットワークが4Gコアネットワークからネットワーク・スライシング等に対応した5Gコアネットワークに置き換えられるとともに、モバイル・エッジ・コンピューティングの導入も進展すると考えられる。LTE基地局とは連携しないSA構成のNR基地局の導入が開始されていき、4Gまでに使用してきた既存の周波数帯にもNRの導入が進展していくこととなる。提供されるサービスも「超高速」サービスだけでなく、「超低遅延」や「多数同時接続」に対応したサービスの提供が開始されることで、5Gはその真価を発揮するだろう(図表1-2-3-5)。

図表1-2-3-5 4Gから5Gへの移行
(出典)総務省作成資料


3 各種報道による。

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