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第1部 特集 5Gが促すデジタル変革と新たな日常の構築
第3節 新型コロナウイルス感染症が社会にもたらす影響

(4)トラヒックの増加による通信インフラへの影響

NTTコミュニケーションズによると、5月中旬の通信量(日中)は2月25日週比で最大約6割増加している92図表2-3-3-2)。世界的にも、データ配信の米アカマイ・テクノロジーズ93によると、早期に新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中国、韓国、日本及びイタリアの4か国での2月のトラヒックの増加率は、同じ時間帯の比較で他の国々よりも平均で25%高くなっている。また世界のデータ通信量は1〜3月に前年同期の2倍以上となる毎秒160テラ(テラは1兆)ビットを記録したという。

図表2-3-3-2 昼間通信量の推移
(出典)NTTコミュニケーションズ公開データに基づき総務省作成

在宅勤務や休校措置の拡大で、遠隔での会議や動画視聴の機会が増えたことが、通信量急増の原因と考えられるが、4月以降の学校の臨時休校に伴う遠隔授業が本格的に開始されることで、さらにネットワーク通信量が増加することが想定された。

こうした事態を受けて、総務省は4月3日に学生等の学習に係る通信環境の確保に関する要請を電気通信事業者関連4団体に対して行った94。学生等の自宅等の通信環境によっては携帯電話の通信容量制限等により学習を行うことが困難となる場合も想定されることから、遠隔授業等を活用して学習をするための通信環境の確保に関し、携帯電話の通信容量制限等について、柔軟な措置を講じること等について要請したものである。この要請を受けて携帯電話サービスを提供するNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社は、学生の通信費を一部無料にする方針を発表している95

他方で、動画再生需要の高まりによって、ネットワークへの負荷が高まっていることを背景に、YouTubeは動画視聴によるトラヒックを抑えるために、3月24日に全世界で一時的に画質を下げてサービスを提供する旨を発表した96。EUや英国においては20日から既に実施済みであったが、その対象範囲を拡大した形となる。同様に、一部地域でNetflixやAmazon prime videoもストリーミング画質を低下させている。

緊急事態宣言の解除以降、特に平日昼間の通信量は目に見えて減少しており、技術的には未だ深刻な問題までには達していないものの、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化することで、さらにインターネット利用、特に動画視聴の需要が高まる可能性があることから、5Gの普及・展開等と併せて、今後さらなる通信インフラの強靭化を求められることになるだろう。



92 NTTコミュニケーションズ 「インターネットトラフィック(通信量)推移データ」(https://www.ntt.com/about-us/covid-19/traffic.html別ウィンドウで開きます

93 アカマイ・テクノロジーズ(2020)「【プレスアラート】アカマイの観測データ公開」(https://www.akamai.com/jp/ja/about/news/press/2020-press/akamai-traffic-data.jsp別ウィンドウで開きます

94 総務省(2020)「新型コロナウイルス感染症の影響拡大に伴う学生等の学習に係る通信環境の確保に関する要請」(https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban03_02000630.html別ウィンドウで開きます

95 NTTドコモ(2020)「新型コロナウイルス感染症の流行に伴うU25向け支援措置」の実施 -25歳以下の「1GB追加オプション」および「スピードモード」を50GBまで無償化-(https://www.nttdocomo.co.jp/info/notice/page/200403_00.html別ウィンドウで開きます
KDDI(2020)「新型コロナウイルス感染症の影響拡大に伴い、学生(25歳以下)のお客さま向けにデータ使い放題プランの割引を実施」(https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2020/04/07/4369.html別ウィンドウで開きます
SoftBank(2020)「25歳以下の“ソフトバンク”と“ワイモバイル”の利用者へ50GBの追加データを無償提供」(https://www.softbank.jp/corp/news/info/2020/20200403_01/別ウィンドウで開きます

96 動画再生時の画質について、初期設定をSD画質(標準画質)に低下。

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