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第1部 5Gが促すデジタル変革と新たな日常の構築
1 新型コロナウイルス感染症の収束後の社会に向けて

はじめに

1 新型コロナウイルス感染症の収束後の社会に向けて

2019年12月、中華人民共和国湖北省武漢市において「原因不明のウイルス性肺炎」として確認された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、今年(2020年)2月末の時点で全世界の患者数は85,000人を超え、世界保健機関(WHO)は、3月11日に「新型コロナウイルス感染症の拡大がパンデミックと形容される」と評価するなど、グローバル化が進む人流・物流とも相まって、3か月あまりで全世界へと感染が拡大していった。我が国においても、国内の感染者数が3月末の時点で2,100名を超え、4月7日には政府から緊急事態宣言が発出されるに至った。

この事態に対応するため、感染症に関する情報が、国、地方公共団体、報道機関等から通信や放送を通じて積極的に発信されているほか、いわゆる三密(密閉、密集、密接)を回避し、感染リスクを下げる目的から、不要不急の外出やイベント開催の自粛が呼びかけられたことを受け、テレワークの導入やオンライン教育の実施、さらにはオンライン診療に係る規制の緩和などが行われていった。感染症の拡大を契機として、人の生命保護を前提に社会・経済活動の維持を図り、未曾有の困難を乗り越えていく観点から、これまでオンライン化があまり進まなかった領域においても、デジタル化の波が押し寄せつつある。情報通信技術(ICT)は、国民生活や経済活動の維持に必要不可欠な“Essential Tech”として、これまで以上にその重要性が増してきている。

緊急事態宣言は5月25日をもって全都道府県において解除され、今後は感染症の収束状況を見つつ、各種の制限が順次緩和されていくこととなるが、収束後の我が国の社会・経済は、ウイルスの蔓延前とはフェーズを異にする新たな社会・経済へと不可逆的な進化を遂げるであろう。長年にわたる慣行が崩され、デジタル化・リモート化を前提とした活動が定着することで、個人、産業、社会といったあらゆるレベルにおいて変革が生まれ、新たな価値の創造へとつながっていくであろう。

これまでもデジタル基盤の整備やデジタル技術の活用によるデジタル・トランスフォーメーションを通じて、産業の効率化や高付加価値化が進められ、その過程において、サイバー空間とリアル空間の融合が進んでいった。感染症の収束後は、両空間が完全に同期する社会へと向かうとの指摘がある。今後、人々の活動の場は、リアル空間からサイバー空間へと移行していくであろう。そのような移行を妨げる規制・慣行を見直し、リアルとサイバーの垣根を最大限取り除くことが、収束後の社会・経済に向けた重要な取組となる。第5世代移動通信システム(5G)をはじめとするデジタル基盤やIoT、ビッグデータ、AIといったデジタル技術の活用は、今まで以上に重要となっていくであろう。

図表1 Before CoronaとWith Corona
(出典)総務省作成資料
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