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第1部 5Gが促すデジタル変革と新たな日常の構築
第2節 Beyond 5Gの実現に向けて

1 世界の関心は「5Gの次」へ

昨年(2019年)から今年(2020年)にかけて、世界各国で5Gの商用サービスが相次いで開始される中、2030年代を見据えて、5Gの次の規格に向けた検討が各国において始まっている。5Gが研究段階を終えて、実用化が進められていく中、2018年頃から研究者の関心は「5Gの次」へと向けられていき、将来、有望な通信技術に関する学術的な議論が各国・地域で活発に行われるようになった(図表4-2-1-1)。

図表4-2-1-1 海外のBeyond 5G/6Gに関する取組の状況
(出典)総務省「Beyond 5G推進戦略」(2020)

その中で、現時点で最も組織的な動きを示しているのが、フィンランドのOulu大学を中心とする「6Genesisプロジェクト」である。2018年からの8年間で約2.5億ユーロ(約300億円)の予算を獲得し、研究開発に着手している。2019年3月には世界各国の研究者を集めたシンポジウム“6G Wireless Summit”を開催し、ノキアやファーウェイがスポンサーに付くなど高い注目を集めた。同年9月にはホワイトペーパー“Key Drivers and Research Challenges for 6G Ubiquitous Wireless Intelligence”1を公表した。

米国では、2019年2月、トランプ大統領が自身のツイッターで6Gへの取組を強化する旨を表明し、3月にはFCCがテラヘルツ波(6Gでの利用が想定される100GHz〜3THzの帯域)を研究用途に開放する旨を決定した。その後、国防高等計画局(DARPA)及びニューヨーク大が中心となって研究拠点“ComSenTer”を立ち上げ、UCサンタバーバラ、UCバークレー、UCサンディエゴ、コーネル大、マサチューセッツ工科大が研究に参画している。

中国では、2019年11月に科学技術部が6Gの研究開発の開始を発表するとともに、研究開発を担う組織を立ち上げた。また、同月にはファーウェイの会長が社内で6Gの研究チームを任命した旨を表明し、官民ともに6Gの研究開発に乗り出した。

韓国では、2019年に入ってLGやサムスンが相次いで6G研究開発のためのセンターを立ち上げたほか、韓国電子通信研究院(ETRI)がフィンランドOulu大学と6G研究開発協力で提携、政府では、2028年の6G商用化を目指し、2021〜28年の中核技術研究開発事業に向けた準備を進めている。

このように各国・地域が動きを見せる中、日本では、(国研)情報通信研究機構(NICT)が、2018年7月よりテラヘルツ波の研究開発を開始し、5Gの次を見据えた様々な研究開発を推進している。民間では、NTTが2019年6月に6Gを見据えたネットワーク構想「IOWN」を発表したほか、NTTドコモは、今年1月に6Gに向けた技術コンセプト(ホワイトペーパー)を公開2するなど取組を進めている。そして、総務省では、同じく今年1月より、Beyond 5Gに関する総合戦略の策定に向けた「Beyond 5G推進戦略懇談会」を立ち上げ、2030年代の社会において通信インフラに期待される事項やその実現に向けた政策の方向性等について検討を行った。



1 http://jultika.oulu.fi/files/isbn9789526223544.pdfPDF

2 https://www.nttdocomo.co.jp/binary/pdf/corporate/technology/whitepaper_6g/DOCOMO_6G_White_PaperJP_20200122.pdfPDF

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