一方、多くの利用者のパーソナルデータを有するデジタル・プラットフォーマーに対しても、近年規制の強化が議論されているが、各国において規制に対するスタンスの違いが表れている(図表3-1-4-14)。欧州では、多くの分野において規則による規制に積極的である一方で、米国はデジタル・プラットフォーマーが本社を置いていることもあり、比較的抑制的な対応を取る傾向にあった。しかしながら、近年、規制に関する議論が始まるなど、姿勢を転換しつつある。また、こうしたプラットフォーマーを介することにより、誤った情報でも容易に拡散されてしまうといった懸念から、フェイクニュースへの対応等についても各国で議論がなされている。
このようなフェイクニュースへの対抗策については、上記以外の政府においても取組が進められている。例えばシンガポールにおいては、2019年10月に「オンラインの偽情報・情報操作防止法案(New Protection from Online Falsehoods and Manipulation Bill)」が施行された。同法では、「シンガポールの安全保障、安寧な社会環境や他国との友好関係に脅威を与える偽情報」を対象に、政府が虚偽と判断した場合には、プラットフォーム事業者に対して当該コンテンツの削除等を命じることができることとされ、企業が虚偽情報を流すプラットフォームに広告を出すことについても禁止している。この法律は表現の自由の観点から批判も受けているが、施行の翌月に初めて適用され、野党の党員が要請に応じてフェイスブック上の自らの投稿の訂正を行った。
各国政府によるこうした動きに呼応する形で、各企業でも自主的な取組が出てきている。
例えば、プライバシー関連については、各社ともGDPRに対応する形で、既存のサービスの見直しや機能の追加等を行っているほか、CCPAに対応するための追加的な取組も進めている(図表3-1-4-15)。
また、フェイクニュースに関しても、各事業者によってコンテンツの削除やファクトチェックの実施などの対応がなされている(図表3-1-4-16)。一方で、政治広告に関しては、GoogleやTwitterが政治広告の禁止や広告対象のターゲティングに当たって利用できるデータ範囲の縮小を発表しているのに対し、Facebookは広告主の身元証明等の厳格化にとどめるなど、温度差が見られる。