総務省トップ > 政策 > 白書 > 令和2年版 > 各国におけるパーソナルデータの利活用に関する意識
第1部 5Gが促すデジタル変革と新たな日常の構築
第3節 パーソナルデータ活用の今後

4 パーソナルデータの活用拡大に向けて

(1)各国におけるパーソナルデータの利活用に関する意識

ここまでデータの流通及び活用に関する意識のアンケート結果を分析したが、それぞれの国において、消費者や企業の意識に特徴が見られた。

特に、中国においては消費者がパーソナルデータの提供に対し、全般的に積極的であると言える。パーソナルデータの提供に当たっては、メリットを重視する傾向が強く、インターネット上のサービスの利用に積極的である点など、企業にとっては、パーソナルデータを含めたデータの収集・活用が進めやすい環境といえよう。そのため、パーソナルデータを活用したビジネスや、大量なデータが必要となるAIの学習などにおいて日本や米国、ドイツよりも有利な状況にあるといえる。

また、米国及びドイツにおいては、消費者の間でパーソナルデータを提供することに慎重になっていることがうかがえる。近年問題となっている、デジタル・プラットフォーマーによるパーソナルデータの囲い込みを懸念しての反応ではないかと推察される。

一方で、我が国の消費者は、パーソナルデータの提供に当たって、データを提供していることを認識していない者も含め、他国の消費者に比べて比較的慎重であるといえる。また、プライバシーやデータ保護に関する規制やルールについても、日本の回答者は安心・安全を重視している傾向が他国よりも一段と強いことが示されている(図表3-3-4-1)。

図表3-3-4-1 プライバシーやデータ保護に関する規制やルールに関する消費者の考え方
(出典)総務省(2020)「データの流通環境等に関する消費者の意識に関する調査研究」
「図表3-3-4-1 プライバシーやデータ保護に関する規制やルールに関する消費者の考え方」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

しかし、パーソナルデータの提供について、米国及びドイツにおいては不安を抱く回答者の割合が増加しているのに対して、我が国においてはその割合に減少が見られるなど、提供に対して少しずつ抵抗感がなくなりつつあることも分かった。また、趣味や年代など、一部のデータについては抵抗感があまりなく、利用目的が明示されればその目的に応じて、提供を行ってもよいと考えていることも明らかになった。さらに、企業の利用目的であっても、自身に経済的メリットや利便性が上がることが示されれば提供してもよいという人も増加傾向にある。

我が国の企業のパーソナルデータの利活用に関する意識はどうだろうか。調査からは、日本企業はパーソナルデータの利活用に関する取組は米国及びドイツの企業に比べてそれほど進んでいないことが明らかとなった。また、その際の課題として、インシデントリスク、人材、費用を課題として認識していることが分かった。

これらの結果から、我が国においては、消費者が少しずつパーソナルデータの活用に理解を示し始めている一方で、企業においては活用が進んでいない現状が浮き彫りになった。我が国の消費者はパーソナルデータの利活用に当たって、安心・安全を重視する傾向が強いことを踏まえれば、我が国の企業がパーソナルデータの活用を進めていくに当たっては、消費者にとっての安心・安全性とのバランスに留意しながら進めていくことが必要となるだろう。

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