第2部 基本データと政策動向
第2節 ICTサービスの利用動向

2 電気通信サービスの提供状況・利用状況

(1)提供状況

ア 概況
(ア)音声通信サービスの加入契約数の状況

●固定通信の契約数は減少傾向にあるが、移動通信及び0ABJ型IP電話の契約数は一貫して増加

固定通信(NTT東西加入電話(ISDNを含む)、直収電話1及びCATV電話。0ABJ型IP電話を除く。)が減少傾向にある一方、移動通信(携帯電話、PHS及びBWA)及び0ABJ型IP電話は堅調な伸びを示している。また、050型IP電話は、近年横ばいで推移している。

移動通信の契約数は、固定通信の契約数の約10.1倍になっている(図表5-2-2-1)。

図表5-2-2-1 音声通信サービスの加入契約数の推移
(出典)総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表(令和元年度第4四半期(3月末))」により作成
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(イ)ブロードバンドの利用状況

●移動系超高速ブロードバンド契約数は年々大幅に増加している

2019年度末での固定系ブロードバンドの契約数2は、4,120万(前年度比2.4%増)、移動系超高速ブロードバンド契約のうち、3.9-4世代携帯電話(LTE)は1億5,262万(前年度比11.7%増)、BWAは7,121万(前年度比7.5%増)となっている(図表5-2-2-2)。FTTHとDSLの契約純増数の推移をみると、DSLは純減傾向が続いている一方、FTTHは一貫して純増している(図表5-2-2-3)。

図表5-2-2-2 ブロードバンド契約数の推移
(出典)総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表(令和元年度第4四半期(3月末)」により作成
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図表5-2-2-3 FTTHとDSLの契約純増数の推移(対前四半期末)
(出典)総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表(令和元年度第4四半期(3月末))」により作成
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デジタル化されたケーブルテレビ施設は、テレビジョン放送サービスのほか、インターネット接続サービス及びIP電話サービスといういわゆるトリプルプレイサービスを提供する地域の総合的情報通信基盤となっている。ケーブルテレビ網(同軸・HFC)を利用したインターネット接続サービスは、2019年度末で265事業者が提供し、契約数は、671万となっている(図表5-2-2-4)。

図表5-2-2-4 CATVインターネット(同軸・HFC)提供事業者数と契約数の推移
(出典)総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表(令和元年度第4四半期(3月末))」により作成
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イ 固定系音声通信
(ア)固定電話市場3

●固定電話(NTT東西加入電話、直収電話、CATV電話及び0ABJ型IP電話)市場における全加入契約数は緩やかな減少傾向

固定電話(NTT東西加入電話、直収電話、CATV電話及び0ABJ型IP電話)市場における全契約数は2019年度末時点で5,367万(前年同期比1.4%減)であり、引き続き減少傾向となっている。

固定電話市場の全契約数が全体として減少傾向にある一方、0ABJ型IP電話は増加傾向にあり(前年比2.2%増)、固定電話市場全体に占める割合も65.6%となっている。固定電話から0ABJ型IP電話を除いた契約数は1,846万であり、0ABJ型IP電話の契約数(3,521万)を下回っている(図表5-2-2-5)。

図表5-2-2-5 固定電話の加入契約者数の推移
(出典)総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表(令和元年度第4四半期(3月末))」により作成
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また、加入電話及びISDNの事務用と住宅用それぞれの傾向をみると、事務用、住宅用の加入電話、ISDNともに加入契約数が減少している4図表5-2-2-6)。

図表5-2-2-6 NTT固定電話サービスの推移
(出典)NTT東西資料により作成
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(イ)公衆電話

●公衆電話施設数は一貫して減少

2019年度におけるNTT東西の公衆電話施設数は、減少が続き、15.1万台(前年度比2.5%減)となっている。これは、携帯電話の普及により、公衆電話の利用が減少していることが背景にある(図表5-2-2-7)。

図表5-2-2-7 NTT東西における公衆電話施設構成数の推移
(出典)NTT東西資料により作成
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(ウ)IP電話の普及

●IP電話の利用数は2019年で4,395万件であり、0ABJ型IP電話が増加傾向

IP電話サービスは、インターネットで利用されるIP(Internet Protocol)を用いた音声電話サービスであり、ブロードバンド(インターネット)サービスの付加サービスの形態を中心に提供されている。IP電話は付与される電話番号の体系の違いによって次の二つに大別される(図表5-2-2-8)。

図表5-2-2-8 IP電話の利用状況
(出典)総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表(令和元年度第4四半期(3月末))」により作成
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A 050型IP電話

050番号を用い、インターネット接続サービスの付加サービスとして提供され、同じプロバイダもしくは提携プロバイダの加入者間の通話料は無料であることが多い。一方で、緊急通報(110、119等)を利用できない点や、通話品質の基準が加入電話に比べて低いといった点もある。2019年度末における利用数は、892万件となっている。

B 0ABJ型IP電話

0ABJ型IP電話は、加入電話と同じ0ABJ番号を用い、加入電話と同等の高品質な通話や緊急通報(110、119等)を利用できるなどの特徴がある。2019年度末における利用数は、3,521万件あり、依然増加傾向にある。

ウ 移動系通信

●移動系通信の契約数は毎年増加。また、移動系通信の契約数に占めるMVNOサービスの契約数も増加傾向

2019年度末時点における移動系通信(携帯電話、PHS及びBWA)の契約数5は1億8,661万(前年度比3.4%増)である。2018年度末と比較しての純増数は、616万となっており、引き続き増加傾向である(図表5-2-2-9)。

図表5-2-2-9 移動系通信の加入契約数の推移
(出典)総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表(令和元年度第4四半期(3月末))」により作成」により作成
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また、同契約数における事業者別シェア(グループ別)について、NTTドコモは37.3%(前年同期比0.6ポイント減)、KDDIグループは27.6%(前年同期比0.2ポイント増)、ソフトバンクグループは21.8%(前年同期比0.9ポイント減)となっている(図表5-2-2-10)。

図表5-2-2-10 移動系通信の契約数(グループ内取引調整後)における事業者別シェアの推移
(出典)総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表(令和元年度第4四半期(3月末))」により作成
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各グループのMVNOシェアについては、NTTドコモのMVNOは5.7%(前年同期比0.1ポイント増)、KDDIグループのMVNOは3.8%(前年同期比0.4ポイント増)、ソフトバンクグループは3.7%(前年同期比0.8ポイント増)となっている。

移動系通信(携帯電話、PHS及びBWA)の契約数に占めるMVNOのサービスの契約数6は、2,465万(前年同期比14.7%増)と増加傾向である(図表5-2-2-11)。

図表5-2-2-11 MVNO(MNOであるMVNOを除く)サービスの契約数の推移
(出典)総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表(令和元年度第4四半期(3月末))」により作成
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エ 専用線等

●近年、国内専用線の回線数が減少する一方で、広域イーサネットサービスの契約数は増加の傾向

2018年度末における国内専用サービスの回線数は、29.4万回線である。内訳は、一般専用(帯域品目)が19.7万回線、一般専用(符号品目)が1.9万回線となっている。高速デジタル伝送は前年度に比べ3.1万回線減少し、7.8万回線となっている(図表5-2-2-12)。

図表5-2-2-12 国内専用回線数の推移
(出典)総務省「情報通信統計データベース」により作成
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/別ウィンドウで開きます
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国際専用サービスの回線数は、3,063回線である。全ての回線が主にデータ伝送、高速ファイル転送及びテレビ会議に利用されている中・高速符号伝送用回線7である(図表5-2-2-13)。

図表5-2-2-13 国際専用サービス回線数の推移
(出典)総務省「情報通信統計データベース」により作成
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/別ウィンドウで開きます
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一方、広域イーサネットサービスの契約数は増加傾向となっており、2019年末時点で契約数は64.1万となっている。また、IP-VPNサービスは、近年横ばいで推移している(図表5-2-2-14)。

図表5-2-2-14 IP-VPNサービス・広域イーサネットサービス契約数の推移
(出典)総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表(令和元年度第4四半期(3月末))」により作成
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オ 電気通信料金
(ア)国内料金

●固定電気通信料金の水準は2010年以降ほぼ横ばい、移動電気通信料金については減少傾向で推移

日本銀行「企業向けサービス価格指数(2010年基準)」によると、固定電気通信の料金はほぼ横ばい、移動電気通信の料金は減少傾向にある。2010年と比較すると固定電話は0.3ポイント増、携帯電話・PHSの料金は19.0ポイント減となっている(図表5-2-2-15)。

図表5-2-2-15 日本銀行「企業向けサービス価格指数」による料金の推移
(出典)日本銀行「企業向けサービス価格指数(2010年基準、消費税除く)」より作成
https://www.stat-search.boj.or.jp/別ウィンドウで開きます
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(イ)通信料金の国際比較

●東京の携帯電話の料金について、スマートフォンは他の都市と同水準

通信料金を東京(日本)、ニューヨーク(米国)、ロンドン(英国)、パリ(フランス)、デュッセルドルフ(ドイツ)、ソウル(韓国)の6都市について比較すると、固定電話の料金では、基本料について東京は中位の水準となっている。IP電話を提供しているニューヨークを除いて東京は加入時一時金が最も低廉になっており、移転時の費用ならびに市内通話料金はソウルに次いで低廉な料金となっている。東京の平日12時の市内通話料金はデュッセルドルフと同水準である(図表5-2-2-16)。

図表5-2-2-16 個別料金による固定電話料金の国際比較(2018年度)
(出典)総務省「平成30年度電気通信サービスに係る内外価格差に関する調査」
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携帯電話の料金では、フィーチャーフォン(MNO)について、東京はパリに次いで低廉な水準となっている。また、スマートフォン(MNO)について、新規契約した場合の通信料金を比較すると、データ通信量が月2GB及び5GBのプランについて東京の支払額は中位の水準、データ通信量が月20GBの大容量プランについては、高い水準となっている(図表5-2-2-17)。

図表5-2-2-17 モデルによる携帯電話料金の国際比較(2018年度)
(出典)総務省「平成30年度電気通信サービスに係る内外価格差に関する調査」
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1 直収電話とは、NTT東西以外の電気通信事業者が提供する加入電話サービスで、直加入電話、直加入ISDN、新型直収電話、新型直収ISDNを合わせた総称をいう。

2 固定系ブロードバンド契約数は、FTTH、DSL、CATV(同軸・HFC)及びFWAの契約数の合計。

3 「電気通信分野における競争状況の評価2014」においては、固定電話領域におけるサービス市場の画定については、各々の市場における利用者の用途、市場の需要代替性の有無等を勘案し、加入電話については、NTT東西加入電話(ISDNを含む。)、直収電話(直加入、新型直収、直収ISDN)、CATV電話及び0ABJ型IP電話の各サービスをあわせて1つの市場とみなし、「固定電話市場」としている。

4 事務用と住宅用の加入者数はNTT東西に関する状況のみを示している。

5 グループ内取引調整後の数値

6 MNOであるMVNOの契約数を除いた数値

7 通信速度1,200bps〜10Gbpsの回線で、主にデータ伝送、高速ファイル転送に利用。

8 加入時に施設設置負担金(36,000円の支払いを伴わないプラン。施設設置負担金を支払う場合に比べ、月額250円が基本料に加算される。

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